ガラパゴス。

ワタクシメのブログを楽しみにしておられる殊勝な皆様、こんばんわ。
今日は久しぶりに真面目な毒入りブログでもシタタメテみようかと思っているあぱでございます。

さて、タイトルを見て
「あー最近はまってるアンドロイドがらみで国産ケータイの話ね、はいはい。」
・・・なんて思った皆さん、残念でした。

まあ、それと絡めて。
本来のガラパゴス諸島と、いわゆるケータイに使われる「ガラパゴス」に感じる違和感について語ってみようかと思います。

興味のない方はスルーしてくださいね。

いわゆる「ガラケー」として用いられてる「ガラパゴス化」という概念。
Google先生にお伺いしたところ、
世界基準とはかけ離れた、独自の進化を遂げたモノ
ってことになってますですね。
まあその説明と、日本固有の携帯電話は合致してますよ。
でもその説明が果たして正しくガラパゴスを表してるかどうか。
ガラパゴス諸島が有名なのは、もちろんダーウィン大先生と進化論が絡んでるから。
ってのは誰でも知ってると思います。
そしてこれらの島には独自の進化を遂げたとっても変わった生き物がいる・・・って認識ですよね?
はい。すでに少々間違った情報が入り込んできています。
正しくは、ごく最近少しだけ独自の進化の道を進んだ少しだけ変わった生き物がいる。です。
多くの人が認識していないのですが、ガラパゴス諸島に暮らす生物の大多数は南米から漂着した生き物たちです。火山活動によって生じた海洋島なので、島が生成されたときには生物は全くいなかったのです。
なので、ガラパゴスで見られる生き物にソックリな生き物がちゃんと南米にいます。
ダーウィン大先生は、見たことも聞いたこともないような生物を見て「進化」という概念を思いついたわけではありません。
当時の科学では生物は神の創造物で不変のものという認識でした。
��余談ですが一部の国と地域(アメリカ合衆国を含む)では学校でダーウィンの進化論を教えておらず、現在も種は不変であると教えられております)
つまり、見たことも聞いたこともない生物種はあくまでも別種であって、
実は見慣れた生物と共通の祖先を持ってる・・・なんて突拍子もないことを思いつくはずがないのです。
南米からの長い航海の末に到着した島で見た生物たちが、南米の生き物にソックリなんだけども、微妙に違った。そしていくつもある島々でそれぞれまた微妙に違う特徴を持ってることに気づいたので、
実はみんな元々同じ種類だったんじゃねぇの?
と、種というものは環境に合わせて変化、つまり進化するんじゃないかということに気づいたわけなんですね。
さてと。
ここらでガラパゴス諸島の生物群の特徴をも一回整理してみましょう。
��:漂流してくるチャンスが少ないので、そもそも種数が少ない=多様性が少ない
��:母集団と隔離されていた時間は短いので、祖先と大して変わってない。
��:島が多いために更に細かい隔離が起きて様々なマイナーバリエーションが見られる。
��:島ごとに独自の特徴が見られるものの、実は交雑可能なぐらいその違いは微々たるもの。
つまり、
ダーウィン大先生は、妙に多様性の少ない生物相に出くわして、それぞれ詳しく観察した結果、微妙に特徴の異なる「種」をたくさん発見したものの、どれもよく似てるので、1つの種が様々に分化するんじゃなかろうかという説にたどり着いたというわけです。
しつこいようですが、ここで日本の携帯電話を思い浮かべてみましょう。
��:半年ごとのモデルチェンジ、細かいニーズに応じた気持ち悪いぐらいの種類の多さ。
��:マーケット成立時から世界とは隔離されて独自に発展
��:キャリアが違うだけで互換性がなくなるような統一性の無さ
��:機種ごとに規格が変わったりするので世界標準の規格とはほぼ互換性なし。
・・・
ここまで読んでくださった風変わりな方の中で、日本のケータイ電話がガラパゴス諸島の生物にソックリだって主張する方はあとで職員室まで来なさい。
ガラパゴス諸島は、そこにたどり着くことのできた生物たちにとってはまさに楽園のような環境だったことでしょう。
競争もなく、リソースも手付かず。
天敵から身を守ることも考えず、自らをちょっとだけ新しいリソースに適合させれば大繁栄できたのですから。
そう、日本に上陸したアイフォーンのようにね。
どっちがガラパゴスの生物に似てるんですかねぇ?
閑話休題。
ガラパゴス諸島は素晴らしい島々です。熱帯に位置しながら冷たい海流にさらされ、大陸から遠く離れて大型哺乳類の侵入を阻む、小動物の楽園。
何よりも、ダーウィン大先生にヒラメキを与え現代生物学を生み出した、貴重な歴史的遺産でもあります。
ワタクシメは某大学の「生物学科脊椎動物分類学講座」で系統分類学を学んでおりました。
故に、進化論の聖地とも言えるガラパゴス諸島の名を、ネガティブなイメージで使われるのが腹立たしくて、ついついこんなエントリを書いてしまいました。
残念ながら、今後も日本のケータイをガラパゴスと揶揄する動きは変わらないでしょう。
ついてしまったあだ名を変えるのが無理なのは百も承知です。
それでも。
ホンのひとにぎりの人でもいい。
ガラパゴス諸島と進化論の正しい知識を知っておいてもらいたいのです。
義務教育ですべての人が進化論を学んでいる国、ニッポン。
その国の特徴的なケータイを表す言葉は他にもあるんじゃないでしょうかね?

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