一年目の猟期を終えて
各地で35℃越えあたり前な猛暑、というか温暖化まっしぐらな今日この頃。いかがお過ごしでしょうか。こんばんわ。いつもなら釧路地方は涼しいぜーなんて余裕かましてるはずが今年は35℃超えやがって冬山が恋しくなっているおいらです。
3月末で初めての猟期が終わり、銃をしまい込んでからすでに4か月近く経ってます。正確にはヒグマの春季管理捕獲に”若手”枠で招聘されたので5月末まで数回は持ち出してますが、まあ使う機会はなかったのでノーカンです。
それでは結果発表です。
銃の所持免許取ってからの発砲回数(射撃場での練習含む):89
出猟回数:66
撃ったけど外した数:7
倒した鹿の頭数:3
ざっくりまとめると、出猟6回に1回は距離100m未満でシカをスコープにおさめて発砲、うち3割が命中。
うん、簡単じゃあない。
おいらの場合年齢が微妙なのもあって特に師匠となる人はいなくてほぼほぼソロで独学。最後の1か月でようやく”なんかよくわかんないけど、なんかわかった”でした。
最初の1猟期、様々な猟のスタイルを試してみました。
すべてに共通するのは、いかに撃てる時と場所と距離でシカに遭遇するか、です。
射撃の腕はさておき、デバフされまくってる初心者用銃で届く距離は知れてます。
その距離内で、日の出から日没の時間内で、狩猟が許されてて、流れ弾が鹿以外に危害を及ぼす恐れのない地形でシカを見つける必要があります。
そしてシカは動物なので当然動き回ります。水を飲みに行ったり、餌を食べに徘徊したり、おなか一杯になったら座り込んで反芻タイムを過ごしたり。
そして人間を警戒し、距離をおこうとします。 ・・・無理ゲーでしょ?
それでもニンゲン様のはしくれとして鹿との知恵比べで負けるわけにはいかず、遭遇率を高める工夫をした結果がいろんな猟のスタイルに分化していくわけです。
で、おいらはどういう軌跡で工夫を重ねたか。(あるいは人のアイデアをパクったか)
まずはシカが多くいそうな森を通る林道を車で走りながらシカを探す。北海道では”流し猟”といいます。
北海道ではメジャーな方法で一番簡単で効率もよく、ほとんどの人がこのスタイルで、流しに特化した車(おいらは戦車って呼んでます)、獲物回収用アンカーウインチ、ミニクレーン、スタックから抜け出すためのウインチを装備して、リフトアップした大型四駆にオフロードタイヤを履いて走り回ってます。
とにかく距離を走ること、巡回することでシカがよく出る場所を経験的に調べて遭遇率を上げる方式です。(おいらはヒャッハー狩りって呼んでます)
先人たちが紆余曲折の末にたどり着いたスタイルなので効率はいいし体力的にも楽だし、毎日の巡回はシカの行動時間に合わせて数時間勝負なので時間も短くて済みます。
だがしかし。
みんなこの方式なので戦車が走れる林道は毎日数台が走り回ってる状況。猟期の初めごろはそれでも近距離でシカに遭遇できるんですが、11月も終盤になると毎日のように発砲されてさすがに警戒度が段違いに上がっていきます。なんちゃって軽オフロードなおいらの車が行けるようなところは射程の短いハーフライフルじゃ勝負になりません。
つぎ。
車が入ってこない山中に歩いて入る”忍び”スタイル
近年始めた人はこっちのほうが多いようです。理由はかっこいいからていうライト勢と戦車が多すぎて林道でシカ撃つの無理ゲーだからっていうおいらみたいなハーフライフル勢。
流しはシカが林道をウロチョロする早朝・夕方勝負なのに対して、忍びはシカがいるであろう場所に踏み入っていくので時間はあまりシビアじゃないけれども徒歩なのでそもそも時間がかかりがちで獲物が獲れても現地解体でさらに時間を要します。
徒歩なのでカバーできるエリアは狭く、鹿の行動を読まないと遭遇率は低く効率は良くないです。
おいらはというと、林道流しじゃ勝負にならなくなったころから徒歩で森をうろつく時間が増えていきました。
鹿の痕跡をみて行動を予想しようとするんですが、いくら生物全般の基礎を叩き込まれてるとはいえ駆け出しのハンターには難易度が高くシカに会えない日々が続きます。
このころ買ったのがトレイルカメラ。
シカが頻繁に通ってるであろうけもの道を見つけるまではできるんですが、狩猟で肝心な”何時ごろ、どっちの方角に”がまだ読み取れません。
そこでトレイルカメラを仕掛けることで、撃てる時間にシカがうろついてる場所を絞り込んでいきました。
![]() |
明るい時間に複数が移動してるこの場所は有望。 |
![]() |
夜間にしか通らないこの場所は痕跡が多くても意味がない。 |
で、ここまでシカの行動が分かるようになると、うろつきまわるよりシカが特定の時間に通るであろう場所を狙撃できてかつ隠れられる位置で待ち構えたほうがよくね?って思えてきますよね。
で、忍びの変形の待ち伏せ狩りをしばらくやりました。
狙い通りの時間に狙い通りの場所に出てきたときはそりゃもううれしかったですよ。
ま、舞い上がっちゃって弾は外したんですがね。
この方式、週末しか動けないおいらにとっては非常に効率は悪かったんです。なにせカメラ仕掛けてしばらく放置、回収してはじめてその場所の行動の詳細がわかる、を何回か繰り返さないと待ち伏せポイントを絞り込めないので。
でも狩りとしての面白みは抜群だったのでまたやると思います。
このスタイルの欠点は、長時間静止してないといけないので、季節が進んで気温が下がってくると粘れる時間が減って、結果また遭遇率が下がります。
で、つぎ。
雪が降り積もり、除雪が入らない林道は戦車ですら入れなくなります。他方こちらは待ち伏せ狩りがつらくなってきています。
スノーシューで道をつけて徒歩での林道流しです。
スノーシューを履いて動き回っていればとりあえず低温で凍えることはなくそこそこ長時間山を歩いていられます。ただし本当の山では徒歩よりさらに移動速度が下がり広範囲をカバーできなくなります。
除雪されてなくても林道ならばそこそこの速度で歩けるうえに、戦車が入ってこなくなったことでシカの警戒も薄れてゆきます。
車ほどうるさくもないので気づかれる距離も詰めれます。車を運転するより視界が広く、音もよく聞こえるのでシカの気配を察知するのも容易です。
要するに雪が深くなると、歩きやすくシカの警戒度も低い”山”があちこちに出来上がるわけです。
朝と夕方2回の出猟が、昼を挟んでの数時間を一回に代わっていきました。
毎回ほぼ同じ道を、スノーシューで踏み固めて道を作りながら距離を伸ばしていき、年が明けたころにようやく最初の1頭を倒すことができました。
その後は猟期終盤の3頭目までおなじスタイルで出猟してました。
SNSなんかには毎週のようにカップ麺を食べてる写真が上がってたと思います。
実はあれは、1頭目の時は昼前に帰るつもりだったのにまさかの命中で、初めて一人で解体、谷底から人力で肉を引き上げ、入ってきたときの何倍もの時間をかけて肉を持ち帰るまでを昼抜きで夕方まで行動してたらさすがにエネルギー切れでフラフラになったので、その後は食料を持ち歩くようになって狩猟中に写真撮ってる余裕が生まれてきた結果なわけです。
さて長くなったので今日はここまで。
ではまた。
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